ぎふの木造建築を訪れ、皆さまにご紹介させていただくコラムをスタートします!
まずは木造建築として古い建物が多く残る酒蔵を巡っていきます。
ぜひ木造建築の古き良き技術と歴史をお楽しみください。

美濃市のうだつの上がる街並みにある「小坂酒造場」さん 安永二年(1773年)創業
三本のうだつと美しく弧を描く起り屋根が存在感を放っています。昭和57,58年に半解体修理が行われ、江戸期の姿を再現されたそうです。ご主人曰く西に低くなる傾斜地なのでどうしてもそちらに傾いていく傾向にあるとのことです。

町屋造りの奥に長い建物でところどころ屋根に明かり取りが施されています。
お伺いしたのは4月上旬でしたので5月の節句にちなんだ人形が飾られていました。
桃の節句にはもちろんひな人形が並ぶそうです。
ここは「(下)みせ」と呼ばれる部屋で右手上に「みはりのま」という主人が奉公人の仕事ぶりを監視する部屋があります。


入口から奥へつながる「みせ」の部分で通路に台車が走れる煉瓦敷きの軌道があります。


階段を上がると奉公人の寝泊まりする部屋になっていました。
(今は立派な部屋に改造されているとホームページにあります)

米蔵を見せていただきましたが、引戸についていつの時代かの書付があります。
「岐阜縣美濃國清酒醸造場」は読めます。
米蔵の壁には砂利が詰めてある様子が分かったそうです。
酒蔵です。タンクが並び上階から作業が出来るようになってます。
在来木造で太い松であろう登り梁が圧巻です。


この蔵も創業当時からのもので、母屋よりさらに傾いております。
仕込みのタンクがあって改修も難しいのだと感じます。

奥に繋がる通り庭から坪庭が見られます。商談に訪れた上客を通す部屋から見れるのでしょう。
2ヶ所前後にあるとのことで、夏には片方に水を撒くと気化熱で気流が置き、心地よい風が通るようです。もちろん細長い建物に光を取り込む役目も負っています。



米を蒸す部屋です。釜と煙突、鉄骨は後年据え付けたホイストのレールを支えるものです。


歴史を感じるのは勿論、産業建物として木造大空間を備え、木造の無限の可能性を秘めた、
酒蔵の魅力を存分に受けられる貴重な建物です。
小坂酒造場さんに感謝です。
ありがとうございました。


↓小坂酒造場さんのホームページはこちら!
おまけ
小坂酒造さんから酒粕を頂いたので、何品目か作ってみました。

小坂酒造さんに頂いた百春の酒粕です。

塩酒粕にします
重量比で酒粕3,塩1,水1.5にしました。

保存瓶に入れブレンダーで練っていきます
色々使い道はありそうです
塩酒粕を使った白菜漬けを作ります

昆布を細切りにして
白菜、塩酒粕、昆布、昆布粉(昆布茶)を合せます


その日のうちに漬かります

豚ロースの塩酒粕漬け焼き粒マスタードソースを作ります

下処理したとんかつ用ロース肉に塩酒粕を両面に塗り
小麦粉をはたいて


おろしにんにく、おろし生姜とともに
オリーブオイルで焼いていきます
肉を焼いたフライパンに粒マスタードと水を加えソースにしていきます

お好みの野菜とともに召し上がれ
小坂酒造さんでお勧め頂いた
[純米中汲みしぼりたて「新酒」]を頂きます。


醸造後濾過をせず生きた酵母と炭酸ガスを入れたお酒です。
微発砲、お米の味を感じつつ下の奥でほんのりとした苦みが余韻を感じさせます。
香りは強くはありませんが華やかです。
アルコール度数はやや高めと思われます。
ご紹介した2品と旬のそら豆、新じゃがの炒め煮とともに「乾杯」