家づくりを通じて木材の効能を解き明かす
知恵でオオカミを懲らしめて一世を風靡した、ぶた界のレジェンド「3匹のこぶた」から100年後。2匹のこぶたが犠牲になったあの悲劇を教訓としながらも、ぶた界には今もまだ「大きくなったら家を建てる」慣習が粛々と続いていた。岐阜県の森の奥深く、あのレジェンドの3番目のこぶたの孫の孫の孫に、またもや年頃の3匹のこぶた兄弟がいたのだった…
レジェンド「3匹のこぶた」では、わらの家を吹き飛ばされた1番目のこぶた、木の家を燃やされた2番目のこぶた、ではなく吹き飛ばされず燃やされないレンガの家を建てた3番目のこぶただけが助かった。オオカミが一番怖い、という時代では。
その孫の孫の孫の現代、ぶた界では、残念ながら「怖いもの」のバリエーションが幅広く増えている。仲良しの3匹のこぶた兄弟は、レジェンドの時代の教訓を活かし、みんなで家を建てみんな一緒に住もうとしていた…
材木屋が再考する「3匹のこぶた」の家づくりの話。
巷のネットやYOUTUBEには、家づくりについての指南やノウハウがあふれていて、家づくり業界のど真ん中にいる私なんかでも思うところはいろいろあるのだが、それをストレートに発信することはしていない。
が、自分の失敗談を含め、家づくりをする上では知っていてほしい、伝えたいという事は山のようにあるから、「MOKU TOWN」をオープンする事になったタイミングで、やっぱり発信する事にした。子供に「3匹のこぶた」を寝かしつけてながら読んでいて「煉瓦の家が一番丈夫っていうのは、日本では違うんだけどな」とモヤモヤしていた時、いきなり思いついて「こぶた」の孫の孫の孫の「新・3匹のこぶた」を主人公に、家づくりストーリーを考えてみた。
そうしたところ、私の拙い原作をもとに、地元ならではの人脈ネットワークで、イラスト、脚本、声優、編集など超絶驚くべき連携スピードをもって動画に仕上げて頂いた。
コンクリートの家では、●●が生えた。
動画にあるように、コンクリートの家は強そうなイメージだし、何よりその佇まいがめちゃくちゃカッコイイ。材木屋生まれのくせに、私は借家時代になんと2回もコンクリート造りの家に住んだことがある。
結論、コンクリート造りを否定するつもりは全くないが、私には合わなかった。冬に寒い。そして夏に湿気がすごい。湿気がすごいとは聞いていたが、予想以上にすごくて、量販店で売っているような水がたまるタイプの「湿気取り」も全く幅立たないレベル。収納の奥にしまっていた旦那の宝物のひとつ、大学時代のアマチュア野球日本代表の「JAPAN、大魔神」という謎の刺繍入りグローブに、たくさんかびるんるんが群がっていたのには驚愕した。
新・3匹のこぶたの家づくりはまだまだ続く…
家づくりが難しい、分かりにくいのは、考慮するべきポイントが多すぎるためだと思う。人生でほぼ初めての経験にもかかわらず、構造・省エネ・断熱・デザイン・素材・インテリア・間取り・価格・資金計画…拘りだしたらキリがなくなるほど様々なコンテンツの選択判断を一時期に同時並行でしながら決定していく家づくり。残念ながら打合せの後半時期には「もう何でも良いです」的な感じになっている施主様も少なくない。
材木屋として、連載アニメ「新・3匹のこぶた」では、その辺りの情報を整理しながら発信し、少しでも役に立つ気づきを提供できたらと願う。